名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1498号 判決 1950年3月13日
被告人
片山利春
主文
本件控訴は之を棄却する。
当審に於て生じた訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
弁護人寺尾元実の控訴の趣意(イ)に付いて。
所論の刑事訴訟法第三百一条は、犯罪事実に関する他の証拠の取調に先立ち、まず自白の取調を行つてはならない趣旨の規定と解すべきものであるから、所論のように証拠調の請求の順序を定めたものでなく、殊に証拠調の請求の順序に付いては刑事訴訟規則第百九十三条第一項に於て、検察官はまず、事件の審判に必要と認めるすべての証拠の取調を請求しなければならない旨規定して居るのに徴すると、原裁判所に於て検察官が所論摘録のように自白を内容とする証拠を犯罪事実に関する他の証拠と共に之が取調の請求を為したからとて、何等所論のような違法があるものではない。従つて論旨は理由がない。